美幌町議会ライブ中継を見る
17日、官か民かで意見が対立している美幌特養老人ホーム民間移譲問題に向けた設置条例廃止案の審議が行なわれた。
結果は反対多数で否決され、民間移譲は困難な状況となった。
町議会ライブ中継を見るのは初めてで、町議の方々や町側の方々の真剣な議論を見られることは町民のこれからの自治意識を高めるのに大いに役立つと感じた。ネット配信がない頃は傍聴席に限りがあり、興味がなければ中々見られない。まして、議事録なんぞ読むことは殆どない現状と思う。
議会に於いても、ネット配信という見えない目を意識せざるをえず、緊張感を持続し、より良い議論へ通じるこになる。
さて、民か官の問題が絡んだ美幌特養老人ホーム移籍問題。私は基本的には福祉事業は営利を目的にしてはならないと思っている。非営利が基本で、それは官営でも民営でもよい。ただ、過去からの規制緩和と官から民へとの流れの中での、福祉に関しては、素直に民営を支持できない。それは、昨今の貧困ビジネスに見られるように、福祉を営利目的に運営し、ケアーを受ける方々がなおざりになり、基本的人権が損なわれる事象があるからである。日本の民営化とは市場化への道が本流で、それは福祉であろがなんだろうが「官から民」という新自由主義的要素が色濃く現れている。
私は福祉の営利的市場化には反対の立場である。それは、営利を目的にした規制緩和の行き着く先は参入と撤退の自由を認めることに繋がる。普通の商売なら参入撤退の自由は当然だが、福祉の性格上営利を目的にした市場化による参入撤退は福祉を受ける側からすれば、不安でしかない。
しかし、現状の官営でよいかと言うと、改善するところは多々あるだろう。「ねばならない」という意識がないだろうか、また、お上意識がないだろうか、ケアーを受ける側の要求を何処まで実施しようと努力しているのだろうか、などなど、本来の官は日本国憲法が示している、国民の幸福追求に心血を注ぐのが公の仕事というものだろう。
今回の議会論議の印象として財政的に逼迫するゆえ民への移譲又は、他都市も官営から民営に移譲しているという、福祉の理想を語らない単純な構造改革や実態を考察しない理由が主の賛成の論。
反対の論理では官営の問題点を考察、改善する投げかけなしでの財政論抜きに民へのアレルギーゆえの官営なのかで議論が止まってしまったように思えた。
自治は町民が主体的に参加し、自らの手で汗をかき、それなりに金を出し、町づくりをすることが理想だと思っている。問題を他者(役所)や民(民間企業など)にまる投げすることでもない。
これからの自治は財政的にも人口の年齢構成においても、町の構成員である町民一人ひとりが汗を流さなくてはならない時代に入ってきてるのかもしれない。これは官営(役所)民営(民間企業)から非営利の民営(市町村民)というもう一つの民を確立してこそ、そこに暮らす住民が主体的に参画した自治となれるかがこれからの問題なのかもしれない。この安心感の上に立って様々な産業への働き方や職業の横断的雇用がより自由に出来る事により、小さな町でも発展する可能性があると思う。
官と民との関係でいえば、英国や北欧の福祉を参考になるのではないかと思っている。民が福祉を担うにしても市民と民間福祉法人との間に官が入り、契約は市民と官との間でおこなわれると聞く。官は民間福祉法人からサービスを買うと言うことだろう。ゆえに日本の様に民間福祉法人と市民との間での契約はないらしい。官にとって民対民の契約には干渉しない逃げ道があるのは、やはり、福祉の根幹に関わることだと思う。
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コメント
美幌町の加藤雅夫→北の国からアートでポン:美幌町の画家さんへ「イランカラプテ!」初コメントです。貴ブログの意義深い記事を拝読して感動しました。同感です。法令や制度が人の命を救うのではない、人々が人の命を救うこと大事です。「福祉の心」を育てて、より良い町をつくりましょう。
ブログ「北の国からアートでポン」を美幌音楽人加藤雅夫(美幌町議会「インターネット議会中継」全世界へ配信開始!)にリンクしました。もし何か問題あればお手数でもご連絡ねがいます。
むかし懐かしのチキンラーメン、また食べたいなあ…。
投稿: 美幌残疾人 加藤雅夫 | 2009年9月28日 (月) 07時18分
加藤さんコメント有難うございます。
リンクありがとうございます。
金の問題が絡むと、福祉もクソも同じになってしま現状に、情けなく思っているところです。
他の自治体でも福祉の官から民へと流れは金太郎飴のように同じです。美幌だけの特殊な問題でなく、これはある種の流れの一環だろ私は思っています。
貧しくとも安心できる町であり、愛せる町でありたいですし、微力ながら声を上げ続けたいと思っています。本当に微力ですが。。。
投稿: 画家 | 2009年9月28日 (月) 11時01分